いちご状血管腫(乳児血管腫)
いちご状血管腫は通常生下時にはなく、生後1か月程度の頃から隆起する赤い結節ができ、6~7か月頃まで増大するといわれている赤アザの一種です。私の長男も生後3か月頃から2㎝程度のいちご状血管腫が腹部に急にできてしまい、総合病院で2回VビームⅡレーザーを打ってもらい今となっては跡形もなくなっています。乳児の1%程度にみられるといわれています。昔は経過観察の方針だった時代もありますが、近年は発生直後からVビームなどの色素レーザー治療をしたほうが良いと言われています。
治療をしない場合は、皮膚萎縮などの瘢痕を残すことがあり、整容的にも早めの治療がよいです。
またヘマンジオルシロップ(内服薬)が有効な場合やVビームと内服薬を併用したほうがよい場合もありますので、ヘマンジオルシロップが必要な際には適切に総合病院に紹介させていただきます。
当院はなかなか総合病院でも完備していないVビームⅡを完備しております。通常受診当日にレーザーは打てますのでお気軽にご相談ください。
アトピー性皮膚炎
子供の湿疹、アトピー性皮膚炎は非常に治療のコントロールが重要です。なぜなら近年の研究で「皮膚からアレルギーを獲得する=経皮感作」が起こることが示されたからです。皮膚の湿疹や炎症を放置すると「皮膚バリアー機能」が壊されてしまいます。乳児で2ヶ月以上、1歳以上で6ヶ月以上、かゆみを伴う湿疹が慢性的に続く場合はアトピー性皮膚炎を疑います。アトピー性皮膚炎は父母や兄弟など家族歴があることも多く、診察時には確認します。子供のアトピー性皮膚炎は、2歳未満の乳幼児期から学童期に発症することが多く、成長に伴い症状はよくなることが多いですが、成人になるまで再発を繰り返し、症状が続くこともあります。
2歳未満の乳児期には頬を中心とした顔、頭や首のまわりに湿疹が出ることが多いです。
離乳食が始まってからは、口のまわりや頬によく湿疹がみられます。
幼児期~学童期(2歳~12歳)には首の周り、肘の内側、脇の下、膝の裏側、手首などに症状があらわれて、繰り返し掻いてしまうため、皮膚がごわごわと硬くなる「苔癬化」がみられます。13歳~成人以降には主に顔や首の周り、胸・背中などの上半身に発疹が強くみられるようになります。
治療の主体はステロイドの塗り薬、保湿剤などがありますが、現在は非ステロイド外用薬である、コレクチム軟膏やモイゼルト軟膏など治療の選択肢が増え、ステロイド外用薬以外も乳幼児から使用できるようになりました。保険診療の皮膚科の欄からのアトピー性皮膚炎にさらに治療については詳しく記載しておりますのでご参照ください。
アレルギーを獲得しないためにも、乳幼児期からの湿疹のケアは非常に重要になります。スキンケアを実際に外用して診察時に当院では指導しております。塗り方の工夫などもお教えしますので、是非ご相談ください。
とびひ(伝染性膿痂疹)
とびひは乳幼児に好発する、細菌による皮膚の感染症のことです。原因は黄色ブドウ球菌やA群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)などです。接触によってうつって、飛び火のように広がるので「とびひ」と俗名で言われます。水ぶくれができる「水疱性膿痂疹」と、かさぶた(痂皮)が主体となる「痂皮性膿痂疹」に分類されます。痂皮性膿痂疹の場合はで連鎖球菌が原因の場合は、糸球体腎炎が併発することもあるため、10日間は最低でも抗生剤内服や尿検査をします。
とびひは原因菌の検索も大切になるため、膿の部位を細菌培養検査に出すこともあります。
あせも、虫さされ、湿疹などをひっかいてしまったり、傷に二次感染を起こして発症します。また鼻をいじる癖があると、その周囲からとびひが始まったり、ひっかくことでとびひになってしまいます。
治療は、細菌感染なので、抗生剤の塗り薬、飲み薬が必要になります。
幼稚園、保育園、学校などは、医師に治療をしてもらい、病変部をガーゼなどで覆い露出していなければ、登校・登園許可を得られます。しかし病変が多発したり、広範囲の場合は休ませるほうがよいです。プールや水泳は治るまでは禁止です。
とびひの予防としては、特に夏は入浴し、皮膚を清潔にしましょう。泡立てた石鹸で病変部をそっと丁寧に洗い流した方がよいです。鼻をいじる癖がある子は触るのをやめましょう。
早めの治療が肝心ですので、「湿疹がじくじくしてきた」「みずぶくれがでてきた」などがあれば、早めに皮膚科を受診してください。
みずいぼ(伝染性軟属腫)
ポックスウイルスに属する「伝染性軟属腫ウイルス」によるウイルス性のいぼで、小さい子供に好発します。小さい傷や毛孔から接触感染をし、兄弟間、家族間などでの感染も非常に多いです。(大人の性器近くに出来る場合もありますが、その場合は性感染症です)。
潜伏期は14~50日といわれ、四肢や体幹に好発しますが、光沢を伴い、中央にわずかに陥凹がある小結節です。つぶすと乳白色の粥状物質(カスのようなもの)がでてきます。
治療は水いぼ鑷子といわれるピンセットで皮膚科で摘除しますが、10個以上など数が多い際には、お子さんも非常に苦痛のある治療になりますので、別の選択肢として、自費治療にはなりますが、水いぼクリームで様子を見ることもできます。水いぼは無治療でも数ヶ月~1年程度で自然消退するともいわれておりますが、早く治したい、どんどん数が増えてくるなどお困りの際にはご相談ください。痛みに弱い場合は1時間麻酔のテープを貼ってからの切除になりますので、早めの時間帯にご受診ください(診察終了ぎりぎりの場合は後日予約になります)。
料金(税込)
水いぼ自費クリーム (M-BF Cream) |
15g | 2,200円 |
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異所性蒙古斑
新生児の仙骨部や腰殿部にみられる青色班が蒙古斑ですが、腰や臀部以外にある蒙古斑を「異所性蒙古斑」といいます。顔や四肢、背中やお腹などどこにでもできます。
蒙古斑は真皮中層~下層にメラノサイトの増加が認められます。異所性蒙古斑も通常は幼少期~10歳頃までには自然消退しますが、境界明瞭なもの、病変が大きいもの、色調の極端に濃いものは自然消退傾向が乏しいため、保険適応で早期にレーザーを検討します。
当院にはピコシュアがありますので、希望時には来院当日から治療可能です。
東京都は18歳以下(高校卒業時まで)のお子様は治療が無料です。医療証をご持参ください。
太田母斑
太田母斑は黄色人種に多く、日本人の太田正雄氏が世界で初めて1939年に報告した青アザで、英語ではNevus of Otaと呼ばれています。顔の片側のひたいや目の周囲、頬、上唇などに点状の青あざが現れるのが特徴で、日本人を含む黄色人種の女性に多くみられます。
皮膚の深いところの真皮という場所にメラノサイト(色素細胞)が異常分布しているという病態で、基底層という部位にもメラニン顆粒が増加しています。
太田母斑には出生時から存在する場合と思春期前後から色が目立つ場合があります。また下眼瞼限局型のタイプもあり、クマと間違われていることもあります。肩の周りにできる同じようなアザは伊藤母斑といわれます。
太田母斑は自然に消退することがないため、早期からのレーザー治療を行い、通常治療によく反応します。当院にはピコシュアというピコレーザーがあり太田母斑に保険適応で治療ができますので、ご相談ください。
回数を重ねるごとに色素も薄くなり、概ね治療にはよく反応しますが、場合により軽い色素沈着を残したり、色素脱失をきたすこともあります。
詳細はピコレーザーの項目もご参照ください。東京都は18歳以下(高校卒業時まで)のお子様は治療が無料です。医療証をご持参ください。