やけど(熱傷)

やけどは不意に誰にでも起こりえます。やけどをしてしまった時に皆様にお伝えしたいのは、「まずはしっかり流水で20分間以上冷やしてください」ということです。クリニックを受診される前にしっかりとまずは流水で冷やしてください。氷や保冷剤だとやけどの部位に当たっていないことがあるため、できるだけ「流水」がよいです。そしてできる限り受傷当日にクリニックをご受診ください(難しい場合は翌日など早めがよいです)。炎症を抑える外用薬を使用し適切にケアなどをお伝えします。熱傷は2~3日進行することがあるため、翌日~3日後を目安に可能な限り再診していただいております。
また重症になりやすいやけどは、冬の湯たんぽによるやけどである50~60度程度のものが長時間皮膚に触れることにより起こる「低温熱傷」です。湯たんぽによる低温熱傷は治りづらく治療が長引きます。
湯たんぽはやむを得ず使用する場合は必ず布団から出しましょう(布団を温めるのだけに使う)。当院は労災にも対応しております。仕事中に起こったやけどにも対応しておりますので、ご受診ください。
広範囲の熱傷の場合には救急病院、総合病院への受診をお勧めする場合もありますので受診の目安が分からない場合はご相談ください。重症な場合は熱傷は入院治療、植皮術が必要になってしまう場合もあります。

料金(3割負担の場合)

熱傷処置 やけどの範囲による 約450~1,000円

労災は初診時、自費支払い100%になります(労災は現金のみの支払いです)。手続きをすることで返金されます。2回目の受診時以降で労災に切り替えることは出来ませんのでご注意ください(初診時から労災扱いでないと労災として認められません)。

イボ、尋常性疣贅

ウイルス性のイボは大変多くの方が罹患する身近な皮膚疾患です。大きさや部位により治療期間は異なりますが、一つ言えることは「小さなうちがイボは治りやすい」、ということです。1cmを超えるような大きなイボになってくると数年がかりの治療になることも珍しくはありません。ウイルス性のイボは突然できますが、手や足にできることが多いのは目に見えないような微小な傷が手足には多く、ウイルスが侵入しやすいと言われています。通常液体窒素で1~2週に1回治療をします(保険で週に1回認められています)が、早い方で数か月がかり、場合によっては年単位での治療になります。
液体窒素は-196度の治療ですので、副作用として水ぶくれという水疱ができてしまうことや、それが血豆のようになること、傷のようになることがありますので、最初は強さを調整します。しかし水疱ができて、表皮ごと取れるといぼが治ることもあり、決して悪い面だけではありません(ダウンタイムがつらい方が多いので、水疱までは目指しませんが、なるリスクはあります)。
イボの自費治療としてイボの栄養血管をやっつけるVビーム治療、MCA(モノクロロ酢酸)という強い酸で角質を溶かすぬり薬の治療も、当院では取り扱っておりますので、液体窒素のみでなかなか治らないウイルス性のいぼの方は是非ご相談ください。

料金(3割負担の場合)

難治性イボ
Vビーム
1か所 9,900円
2か所目以降
(1か所)
5,500円
MCA 1回 1,100円(税込)

脂漏性角化症

脂漏性角化症は顔や体のどこにでもできる褐色~黒褐色の隆起を伴う表面がざらざらした疣贅状(いぼ状)の良性の皮膚腫瘍です。早い方は20歳代からできますが、50歳以降になると多くの方ができて、80歳以降になるとほぼ全員に認める加齢、老化により生じ、老人性色素斑(しみ)から盛り上がってくることが多いです。病態としてはケラチノサイト(表皮細胞)の腫瘍性変化(増殖)です。
保険治療としては液体窒素やオペでの切除が選択肢になります。顔に液体窒素をあてる場合は、炎症後色素沈着といってシミのようになることもあるため、通常その他の選択肢を顔や首の場合はとります。頭皮などに出来ている際には髪の毛で隠れるため、液体窒素から開始してもよいです。保険治療では顔や首以外であれば、液体窒素を2週間おきにあてていくことが一般的ですが、極端に盛り上がりが強いものや、サイズが大きいものに関しては手術で切除のほうが良い場合もあります。切除は一度でとれるメリットもありますが、その後の軟膏処置などがしばらく必要になります。
顔や首などの際、大きさによっては自費治療であるデルマトロンやラジオ波メス、ピコレーザーなどをお勧めする場合もあります。顔に多数しみと脂漏性角化症がある場合は秋から春の紫外線の少ない時期にピコレーザーで治療するのもお勧めとなります(夏でも紫外線防御がしっかりと出来る場合は治療可能です)。
また脂漏性角化症が炎症を起こすLPLK(扁平苔癬様角化症)という赤い盛り上がったシミもよく見られます。シミを異物として生体がみなして、病変に対する炎症反応が起こるためと考えられています。赤くなった際にはステロイド外用が必要になることもありますが、治療としてはピコレーザーやラジオ波などでの病変の切除になります。また日光角化症や基底細胞癌などの悪性腫瘍としっかり区別するためにダーモスコピー(拡大鏡)も使用します。皮膚科専門医でないと皮膚悪性腫瘍はしっかりと診断できません。
顔に脂漏性角化症が多発してしまうと、シミ同様どうしても年齢を感じさせてしまう原因になりますので、気になる方は早めの治療をお勧めします。

料金(税込)

液体窒素 保険で 約700円ほど
デルマトロン 1mm 550円
ラジオ波
1箇所につき
5mmまで 11,000円
1cmまで 22,000円
ピコレーザー(PicoSure) 1cmまで 16,500円

青年性扁平疣贅(顔イボ)

また顔などに30~40代などに多くできる青年製扁平疣贅も大変多い疾患です。顔のざらざらした小さなわずかに隆起する肌色から淡い茶色のできものですが、こちらは液体窒素をしてしまうと色素沈着、シミのようになってしまうことが多くお勧めできません。当院ではラジオ波メスの治療もしくはデルマトロン(自費)で対応しております。デルマトロンで取れる大きさのものはデルマトロンの方が、施術後の赤みなどの副作用が少ないため、デルマトロンをお勧めしております。

料金(税込)

デルマトロン 1mm あたり 550円

青年性扁平疣贅の数が多い場合、20か所で44,000円、30箇所で66,000円

肥厚性瘢痕、ケロイド

肥厚性瘢痕はニキビや傷跡、手術後などから発生するコラーゲンの過剰産生を伴う10代~30代など比較的若い方に多くみられる赤や褐色の盛り上がるできものです。ケロイドは痒みや痛みを伴う場合もあります。ピアスにより生じる場合はピアスケロイドもあります。好発部位としてフェイスラインや前胸部、上背部、上腕、会陰部などによくできます。
保険治療としてはステロイド外用やステロイドのテープ(エクラープラスターやドレニゾンテープ)、ステロイドの注射(ケナコルト注射)などになりますが、治療も長期にわたることが多いです。通常ケナコルト注射は月に1回複数回必要になります。
平坦になった後も赤み自体は自然に軽快しないため、自費治療になりますがVビームレーザーで赤みを消す治療も当院では行っています。ピアスケロイドに関しても注射が効く場合もありますが、大きさによっては手術が良い場合もありますのでご相談ください。また帝王切開など術後の肥厚性瘢痕もテープ保護などの圧迫などケアを行った場合がよいこともあるためお困りの方はご受診ください。

粉瘤(アテローム)

粉瘤は別名「アテローム」といわれ、ほくろと並んで最も頻度の高い皮膚良性腫瘍のひとつです。
粉瘤は体表のどこにでもでき、皮下に嚢腫壁という袋の中に角質物質(ケラチン)という固形物(カスのようなもの)が溜まり、異物反応が起きると炎症が起きて破裂することがあります。以前は細菌感染といわれていましたが、大きくなった際に、嚢腫壁の一部などが破れて炎症を起こすのではないか?といわれています。炎症が起きていない際に、臍のような黒い点のカスのように見える場合もあり、単なる毛穴のつまりと思っている方も多いです。最初は小さな袋状のできものがありますが、放置してしまい、気づかないうちに腫れて痛みが出て「炎症性粉瘤」の状態になり、皮膚科を受診するケースも非常に多いです。
徐々に大きくなってくる場合は炎症を起こす場合が多いと考えられます。炎症が起きている際に手術をしても再発してしまうケースが多いため、中に溜まっている膿を出す切開排膿(膿を出すのみ)の手術になる場合もあります。
また毛嚢炎(せつ、にきび)からの炎症後のしこり(肉芽腫)なのか、臨床的にわかりづらい場合もあります。その際には抗生剤内服でしばらく経過を見ることもあります。肉芽腫はそのうち炎症がなくなると小さくなり消えることもありますが、粉瘤は通常「コロコロしたものが残る」ので消えません。
治療としては炎症が起きていないうちに切除するのが一番よいです。「何か皮膚にコロコロしたものがずっとある」「臭い匂いがするできものがある」という場合は一度受診してご相談ください。
くりぬき法といってパンチという丸いメスのようなものを使った場合は縫わなくてもよい小さな傷ですむ場合もありますが、2cm以上など比較的サイズが大きい粉瘤に関しては再発がないように、レモン型のようにメスでの紡錘形切除が望ましいことも多いです。
顔や首など、また小さな粉瘤に関してはくりぬき法でも対応していますので、適宜症状に合わせてご相談になります。最適な治療方法を提案いたします。
またこれまで女性の患者さんが陰部や胸、おしりなどの粉瘤などのできものに対して女性医師にオペをしてもらいたいという経験も多く、当院では手術まですべて院長の女性医師が対応しております。
膿んでいる切開排膿は当日対応いたします。粉瘤の手術に関しては、可能な限り当日対応いたします。

手術の流れ

  • 問診・診察

  • 手術の場合は手術同意書取得、必要時術前採血

  • 手術、アフターケアの説明

  • 通常翌日に再診し傷の状態をチェック

  • 縫合した際には1週間後抜糸

  • 2週間後病理結果説明

  • 手術をする方は必ずお薬手帳をお持ちください。出血しやすい薬を飲んでいる方は注意が必要です。
  • 局所麻酔薬(キシロカイン)を使用します。キシロカインアレルギーがある方は当院では手術はできませんのでご注意ください。同様に抗生剤のアレルギーの有無も必ず伺います。
  • 18歳以下のお子さんは保護者同意書が必要になりますので、ご注意ください。親の同伴がない場合、保護者サインの手術同意書がない場合は後日の手術になります。
  • 手術予約の方も診察の状況によってはお待たせしてしまうことがありますので、ご了承ください。